ユスティアヌスの疫病が及ぼした影響は活発な討論の対象となっています。地中海世界の人口の半分は疫病によって命を落とし、その上ローマ帝国の崩壊にも疫病が関わったと言う学者もいれば、人口構成への影響は微々たるものであり、歴史の流れは疫病によって左右されることもなかったと主張する学者もいます。この議論で古遺伝学がより頻繁に活用されている現状に基づいて、研究分野としての歴史学の限界が問われるようになりました。本記事はユスティアヌスの疫病を分析する二つのアプローチを概要し、重要な論争点を挙げ、そしてその先へ進む方法を提案します。
リー・モルデカイ(Lee Mordechai)は現在、エルサレムのヘブライ大学の上級講師を務めています。最近は、古代後期に地中海東部で起きた災害、特に地震やユス ティニアヌスのペストなどに関する環境史を再検討することと、11世紀のビザンチン社会史に関心を持っています。また、プリンストン大学のCCHRI(Climate Change and History Research Initiative、cchri.princeton.edu)のアソシエイト・ディレクター兼主任研究員として、前近代地中海社会における短期的な環境ストレスに対する社会的回復力を研究しています。
マール・アイセンベルグ(Merle Eisenberg)は National Socio-Environmental Synthesis Center (SESYNC)の博士研究員として研究を行っています。現在の南フランスにあたる西ローマ帝国の滅亡と地中海世界のユスティニアヌス疫病に焦点を当て、古代世界の終わりを人々がどのように経験したかを研究しています。
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